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【国内初】救急隊到着前にAEDパッド装着した救助事案発生【AED GO】

 

2021年1月。千葉県柏市で救急隊到着前に現場に駆けつけ、救命ボランティアによってAEDのパッドを貼った初めての事案が発生しました。
今回、そのケースに救命ボランティアとして参加された北島氏に、(公)日本AED財団よりインタビューを実施しました。

MEMBER

(左から)
インタビュイー:北島氏 (第一生命保険株式会社 柏支社)
インタビュアー:本間氏 (公益財団法人日本AED財団)
編集:株式会社ドーン

まず、どうしてAED GOに参加しようと思ったのでしょうか?

はい。柏市消防局と弊社第一生命柏支社の協働の取り組みで、 AED GOのトライアルの地区として柏市が選ばれているということで、地域への貢献取り組みとしてAED GOの普及活動に支社をあげて参加しようとしたのが始まりです。

普段から市内を車などで回ることが非常に多く、また弊社の生涯設計デザイナーの活動においてネットワーク自体は広いものを持っていましたから、AED GOの趣旨と非常にマッチしているということで、活動を支社として進めさせて頂いている次第です。その中で自分自身もダウンロードして参加しております。

AED GOの通知が来た瞬間、その時どう思いましたか?

AED GOのモードに、自分の近くのケースの通知だけ受信するモードと、全ての通知を受信するモードの二つがありまして、私は基本的には全ての通知を受信するモードにしていました。ですので、普段から何度か通知を受けたことはありました。その度にパッとスマートフォンを開いて(通知を)確認するのですけども、(倒れた人の場所が)数キロ先だったりすることが多くて、通知慣れはしていたのですが、どうしても駆けつけることはできないっていう状況が続いていました。

しかし、その日は通知がいつものように来まして、ふと見たら185メートル先となっていました。185メートル先だったらもうすぐに走って行ける距離なので、あまり後先考えずに飛び出していったという感じです。

その時はどこのAEDを持って、現場にかけつけたのでしょうか?

現場に向かう途中でAED GOを見ていると、最寄りのAEDの地図が表示されるのです。現場の近くのコンビニが最寄りの AED がある場所だと示されていて、185 メートル先の近くのコンビニだとわかりましたので、そこに向かって走って行きました。

AED GOアプリ内の地図の表示はすぐに場所としてイメージがつきましたか?

知っている場所というのもあるのですが、地図の表示形式はわかりやすかったです。GPSと連動しているからか、移動に合わせて「残り80メートル」と、どんどん距離が近づいていくのもわかりやすかったです。

実際の現場の状況を教えてもらっていいでしょうか?

コンビニにAEDを取りに行く時にもう現場が見えていて、あそこで何か起きているのだろうなっていうのは分かるような状況でした。

先にAEDを持ってから行こうと思い、コンビニに入って「AEDを貸してください」と結構大きな声で言いました。でも店員さんが何のことを言っているのか最初は理解できなかったようで、 「LED? LED ですか?電球探されているのですか?」みたいなぐらいの対応でした。店内も結構混雑していたので列に並んでくださいくらいの顔で見られていました。「AEDです。緊急で!」と改めて説明したところ、「ああ!AEDですか!」と理解してくださって、その方もAEDの場所が店内どこにあるのかを把握されている方だったので、すぐにAEDを持ってきて私に渡してくださり、すぐにそれを持って現場に行きました。

現場は倒れた方と、あとは通報された方も一人いらっしゃったのですけども、通報された方が後ろから抱えて何をしていいかわからないような状況でした。倒れられた方は意識がなくて顔も血まみれの状況で、混乱していました。そこで、一旦倒れた人を寝かせてから、AED GOに通知が来たってことは心停止の疑いがあるのかなと考えました。ちょうど2020年の6月ぐらいに会社で柏消防の方が AEDを含めた救命講習をしてくださって、それを私も受講しておりましたので、呼吸の有無の確認などをしました。AEDのパッドを貼ったら電気ショックが必要かどうかをAEDが判断してくれると分かっておりましたので、「服を脱がせるのを手伝ってください」って通報された方にお伝えして二人で上を脱がせて、AEDのパッドを貼りました。

現場では通報者の方が混乱されていたとのことですが、他にも人はいらっしゃったのでしょうか?

道路沿いだったので人はちらほらいらっしゃったのですが、正直なにをしていいのかわかっていないような感じで、、、私がAEDをもって駆けつけたら「専門の人がきた」というような感じで迎え入れられて、道を開けられてみたいな感じでした。

会社として講習会を受講しようという形だったのでしょうか?

はい、そうですね。その取り組みもありまして、まずは社員から知っておこうということで受講しました。

パッドを装着したときのお気持ちを教えていただけますか?

一番手間取ったのが、AEDを開ける作業でした。講習会でも貼り方とか手順は理解していたつもりだったのですが、新しいAEDで、その時手も結構震えていたので、そのケースをすぐに開けることができなくて、、ちょっと混乱したのは今でも覚えています。その後AEDのパッドを貼ったのはいいのですけど、通報した方もかなり混乱されていまして、僕がパッドを貼った瞬間に電気ショックのボタンを押そうとされて。で、「ちょっと待ってください。AEDが心電図を調べてAEDから指示が来るので」と、救助に参加した全員が正気じゃないというか平常時のテンションではなかったなというのを覚えています。

その後、実際に心電図をAEDが調べてくれて、電気ショックの必要はありませんというアナウンスがありました。よくみると呼吸の動きもあったため、心臓は動いているのだなとわかった時に、ちょうど遠くから救急車と消防車が一緒に来ました。現場が道路沿いでしたので、交通整理というか救急車が来やすいように誘導しました。

現場で救急隊から「目撃者ですか?」などと声をかけられたのですか?

通報された方に対し「第一発見者ですか」と救急隊の方が声をかけていたのですが、その次に「きたじまけいいちろうさんはいらっしゃいますか」と向こうから私の名前を言ってくださいました。AED GOのアプリで「駆けつけ可能」と押していたので、その情報がちゃんと救急隊にも共有されているのだなと思ってすごいなと感心したのを覚えています。

手が震えるくらい緊張されていたというのも自覚されていたのですね?

そうですね。目の前で血を流されている方を見るのが日常生活ではレアですし、駆けつけた時には、結局電気ショックの必要はなかったですけど、自分が何かしなかったらそのまま死んでしまう人が目の前にいるという状況は人生で初めてだったので、相当怖かったです。

「通知もきたし、助けなきゃ」という思いがまさって駆けつけて頂いた感じでしょうか?

そうですね。もうなにかしなきゃ、というのは感じました。 以前そのように救急の現場で対応してくだった人の話を聞いたことがあって、自分も何か役に立てることないのかなって、ちょっと日頃から思っていた部分はあったのかなと思います。

AED GOにご参加していただいて感じた、AED GOのシステムのメリットについて教えてください。

取組として本当に素晴らしいと思っている点と、アプリをダウンロードするボランティア側が、ダウンロードするだけでお役に立てることと直結する点がかなり画期的だなって個人的には思います。

AED GOに興味がある人に対してメッセージをいただいてもよろしいでしょうか?

まず私がびっくりしたのが、AED GOの通知を受けることが多く、こんなにも頻繁に心臓突然死の疑いで救急車が要請されることが多いことです。普段からAED GOの通知で日頃から身近で起こっていると感じることができて、危機感を感じることができるのもAED GOのいいところだと思います。あともう一つは、今回自分がAEDを持って行った当事者にはなりましたけども、今後もこういった通知があったり、救急車がすぐに到着しないケースだったり、本当に通報したものの何をしたらいいかわかんないっていう方がいる時に、AEDを持って行って人口呼吸や心臓マッサージぐらいはできるような人が街中に一人いるだけで、相当救命の確率としては変わるのかなと思います。

私はアプリをダウンロードした時に、自分の町を守るチームにはいったような気持ちでした。私のような考えだとかこのシステムに共感してくださる方が、このAED GOを通じて一人でも増えていったら、悲しい思いをされる方もその分減るのかなと思います。本当に素晴らしい活動だと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。

素晴らしいお話を聞かせていただきありがとうございました! 引き続きAED GOへのご参加よろしくお願い致します。